許可・申請

ドローン飛行前の空域確認ツール完全ガイド:DroneBird・SORASSTで禁止エリアを確認する実務手順

ドローンを飛ばす前に「この場所は飛行可能か?」を確認することは、法律上の義務であると同時に、安全な運航のための基本中の基本です。しかし、航空法・小型無人機等飛行禁止法・各自治体の条例と複数の規制が絡み合う中で、どのツールを使ってどう確認すればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、2026年3月現在、実務で広く使われている空域確認ツールの特徴と使い方を整理し、飛行前チェックの正しい手順を解説します。

第1章:空域確認ツールが必要な理由と法的根拠

なぜ飛行前に空域確認が必要か

ドローン(無人航空機)の飛行には、場所・高度・時間帯によってさまざまな制限がかかります。航空法による飛行禁止空域(空港周辺・高度150m以上・DID地区・重要施設周辺)の他、小型無人機等飛行禁止法による国会議事堂・官邸・原子力発電所周辺なども飛行禁止となっています。これらを事前に確認せずに飛行した場合、以下のリスクがあります。

  • 航空法違反:50万円以下の罰金(禁止空域無断飛行)
  • 小型無人機等飛行禁止法違反:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 事故発生時の保険免責:違法飛行中の事故は損害賠償保険が適用されないケースがある
  • 業務受注の喪失:コンプライアンス違反で取引先からの信頼を失う

確認すべき主な空域制限の種類

飛行前に確認が必要な制限は大きく6種類あります。

  1. 空港・ヘリポート周辺の飛行禁止空域(航空法第132条)
  2. 高度150m以上の飛行制限(航空法第132条)
  3. 人口集中地区(DID地区)での飛行制限(航空法第132条)
  4. 国の重要施設・原子力施設周辺(小型無人機等飛行禁止法)
  5. 自治体の条例による独自規制(公園・海岸・観光地など)
  6. 一時的な飛行制限(TFR:航空ショー・大規模イベント・災害時など)

これらすべてをゼロから調べると数時間かかりますが、適切なツールを活用すれば、10〜15分で確認を完了できます。

第2章:DroneBird(ドローンバード)の使い方と特徴

DroneBirdとは

DroneBirdは、KDDIとゼンリンが共同開発したドローン運航管理プラットフォームです。スマートフォン・タブレット・PCから利用でき、地図上で飛行予定エリアを指定するだけで、そのエリアにかかる飛行規制情報を一覧表示してくれます。2026年現在、法人ユーザーを中心に広く普及しており、国土交通省のDIPS2.0と連携した飛行計画の作成にも対応しています。

DroneBirdの主な機能

  • 空域確認マップ:飛行禁止エリア(赤)・要確認エリア(黄)・飛行可能エリア(緑)を色分け表示
  • 規制情報の詳細表示:各エリアをタップすると根拠法令・規制の種別・問い合わせ先が表示される
  • 飛行計画作成機能:飛行予定日時・エリア・高度を入力し、DIPS2.0への登録データを自動生成
  • 一時的飛行禁止情報(TFR)の反映:イベント・災害・VIP移動時の臨時規制が随時更新される
  • 機体管理機能:登録機体のJU番号・リモートID情報を管理

DroneBirdの実務での使い方(ステップ)

Step 1:アカウント登録

DroneBirdの公式サービスページからアカウントを作成します。無料プランでも基本的な空域確認機能は利用可能です(有料プランでは飛行計画管理・チーム共有機能が追加されます)。

Step 2:地図上で飛行エリアを指定

地図を飛行予定地まで移動し、「エリア指定」機能で飛行範囲をポリゴンまたは円で指定します。住所検索でも目的地を特定できます。撮影範囲より少し広めに囲っておくと、周辺の規制もまとめて確認できます。

Step 3:規制情報の確認

指定エリアにかかる規制が色分けで表示されます。

  • 赤エリア:原則飛行不可(国の許可・承認が必要)
  • 黄エリア:条件付き飛行可・要事前確認(時間帯や高度などに制限がある場合)
  • 緑エリア:比較的制限が少ないエリア(ただし条例や私有地の許可は別途必要)

Step 4:詳細確認と対応判断

各規制エリアをタップして根拠法令・規制内容・問い合わせ先を確認します。許可申請が必要な場合は、表示された情報をもとにDIPS2.0での申請手続きに進みます。業務であれば、スクリーンショットやPDF出力で記録を残しておくと、後日の説明資料としても有用です。

DroneBird利用時の注意点

DroneBirdの情報は随時更新されますが、自治体の独自条例は反映されていないケースがあります。特に以下のような場所では、DroneBirdだけでは確認が不十分な場合があります。

  • 都市公園・河川敷・海岸
  • 観光地・景勝地
  • 祭り・イベント会場

これらのエリアでは、必ず現地の管理者(公園管理事務所・観光協会・自治体窓口など)に直接問い合わせ、ドローン飛行の可否と条件(時間帯・高度・申請方法など)を確認してください。

第3章:SORASSTとその他の空域確認ツール

SORASST(ソラパス)とは

SORASST(ソラパス)は、空域確認に特化したウェブ・アプリサービスです。DroneBirdと同様に地図ベースで飛行禁止エリアを確認できますが、航空測量・インフラ点検など専門用途の事業者に多く利用されています。航空法・小型無人機等飛行禁止法・自衛隊演習空域など、より多様な規制情報を網羅しているのが特徴です。

SORASSTの主な特徴

  • 小型無人機等飛行禁止法の対象施設が明示

国会議事堂・首相官邸・原子力発電所など、同法の対象施設が地図上で分かりやすく表示されます。

  • 自衛隊・米軍演習空域の表示

自衛隊・米軍の演習空域や低空飛行訓練区域など、一般の地図では把握しづらい空域情報に対応しています。

  • 飛行計画のエクスポート機能

飛行計画をPDF・CSV形式で出力でき、顧客への報告書や社内稟議資料としてそのまま活用できます。

  • 複数エリアの一括確認(法人向け)

複数の飛行エリアを一括でチェックできるバッチ処理機能があり、広域インフラ点検などで効率的に空域確認が行えます。

国土交通省ポータルと国土地理院地図

公式情報として最も権威があるのは、国土交通省および国土地理院が提供する情報です。

  • 国交省の「飛行禁止空域マップ」

空港周辺の飛行禁止空域が図示されており、DroneBirdやSORASSTの表示内容と照合することで、空港周辺の空域確認の精度を高められます。

  • 国土地理院の地図

DID地区(人口集中地区)の境界を確認するための公式ツールです。統計局のDID地区境界データと重ね合わせることで、飛行予定地がDID内かどうかを正確に判定できます。業務で厳密な判断が求められる場合は、必ず国土地理院の情報で最終確認を行いましょう。

第4章:各ツールの使い分けと実務フロー

ツールごとの強みと用途

| ツール | 強み | 主な用途 |

|--------|------|----------|

| DroneBird | 画面が見やすく、DIPS2.0連携で飛行計画作成まで一気通貫 | 日常の飛行前確認・飛行計画作成 |

| SORASST | 自衛隊・米軍演習空域など専門情報が詳細 | インフラ点検・測量・専門業務 |

| 国土地理院地図 | DID境界が公式かつ正確 | DID地区の厳密な確認 |

| 国交省ポータル | 空港周辺の飛行禁止空域に関する公式情報 | 空港・ヘリポート周辺の空域確認 |

| 自治体への問い合わせ | 条例・ローカルルールを直接確認できる | 公園・観光地・イベント会場など独自規制の確認 |

実務での標準的な確認フロー(例)

  1. DroneBirdで大まかな空域を確認

飛行予定地を指定し、赤・黄・緑の区分で全体像を把握する。

  1. 必要に応じてSORASSTで詳細を補完

重要施設・演習空域・低空飛行訓練区域など、専門的な空域情報を確認する。

  1. 国交省ポータルで空港周辺を公式情報で再確認

空港・ヘリポートが近い場合は、必ず公式マップで飛行禁止空域をチェックする。

  1. 国土地理院地図でDID境界を確認

市街地付近での飛行では、DID地区内かどうかを公式データで判定する。

  1. 自治体・管理者に条例やローカルルールを確認

公園・観光地・河川敷・海岸などでは、管理者に直接問い合わせて飛行可否と条件を確認する。

  1. 必要な許可・承認をDIPS2.0等で申請

DroneBirdやSORASSTで得た情報をもとに、国交省への許可・承認申請を行う。

まとめ

  • ドローン飛行前の空域確認は、法令遵守と安全確保のための必須プロセスです。
  • 航空法・小型無人機等飛行禁止法・自治体条例・一時的な飛行制限など、複数の規制を総合的に確認する必要があります。
  • DroneBirdやSORASSTを活用すれば、10〜15分程度で実務レベルの空域確認が可能です。
  • ただし、自治体の条例やローカルルールはツールだけでは把握しきれないため、必ず現地管理者への確認を組み合わせて運用しましょう。

これらのツールと手順を標準フローとして社内に定着させることで、ドローン運用の安全性とコンプライアンスを高いレベルで両立できます。

第5章:よくある落とし穴と対処法

落とし穴①:ツールが最新情報に更新されていない

DroneBirdやSORASSTの規制情報は定期的に更新されますが、自治体の新条例や臨時飛行禁止は反映が遅れることがあります。特に大型イベント開催時は、当日になって急鵘飛行禁止になるケースも。前日に必ずTFR情報を再確認してください。

落とし穴②:DID地区の境界を目視で判断する

「この辺りは田舎だからDID外だろう」という思い込みは危険です。都市近郊の住宅地はDID内に含まれることが多く、国土地理院の地図で正確な境界を確認しないとミスが生じます。必ずデジタルツールで境界線を確認してください。

落とし穴③:空港から離れているから大丈夫だと思う

航空法による飛行禁止空域は、空港の滑走路端から延長するエリア(進入表面・転移表面など)も含まれます。直線距離で「空港から遠い」と思っても、滑走路の延長線上にある場所では規制がかかることがあります。DroneBirdの地図で必ず確認してください。

落とし穴④:スマートフォンのGPSのズレを信じすぎる

スマートフォンのGPS精度は5〜10m程度のズレが生じます。飛行禁止区域の境界付近での飛行は、GPS表示が「境界外」でも実際には境界内に入っている可能性があります。境界付近では少なくと㔆50m以上のバッファを持って飛行してください。

落とし穴⑤:確認したのに記録を残していない

飛行後に「なぜあの場所で飛ばしたのか」を証明できるよう、確認したツールのスクリーンショットを保存しておきましょう。事故・トラブル発生時に「事前に規制を確認していた」という証拠になります。業務記録としても有効なので、保存を標準化してください。

第6章:2026年の最新動向と今後の注意点

DIPS2.0との統合が進むツール連携

2026年現在、DroneBirdをはじめとした空域確認ツールとDIPS2.0のシステム連携が強化されています。飛行計画をDroneBird上で作成し、そのままでDIPS2.0のFISSに登録するワンストップフローが実現しつつあり、事務作業の大幅な効率化が進んでいます。

AI・自動化によるルート最適化

一部の法人向けサービスでは、飛行ルートをAIが自動的に規制エリアを避けて最適化する機能の提供が始まっています。物流・点検ビジネスの効率化に直結するため、今後の導入検討価値があります。

自治体条例のデジタル化への期待

現状、自治体の独自規制情報はDroneBirdやSORASSTに完全反映されていないケースが多く、電話確認が必須です。国交省は地方自治体の飛行禁止情報のデジタル統合を推進しており、2027年以降には主要自治体の条例情報もDIPS2.0や連携ツールで確認できるようになる見通しです。

定期的なツールのアップデート確認を

空域確認ツールは法改正・新規制の施行に合わせてアップデートされます。自身が使っているアプリのバージョンが最新かどうかを定期的に確認し、古いバージョンのままでは新規の飛行禁止区域が反映されていない可能性があります。法改正後は特に注意が必要です。

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本記事は公開・更新時点の情報に基づいています。制度・法令は改正されることがあります。実際の申請にあたっては、国土交通省・DIPS 2.0等の公式情報で最新の内容をご確認ください。

申請手続きは専門家への相談がおすすめです

ドローンの飛行許可・承認申請は、ルールが複雑で申請漏れのリスクもあります。手続きに不安を感じたら、行政書士などの専門家への相談をご検討ください。

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