ドローン規制・法律

ドローンと電波法・技適の実務ガイド【2026年版】周波数帯・免許要否・技適マークなしの罰則リスクまで中小企業向けに徹底解説

はじめに

「ドローンを買って飛ばせばビジネスになる」——そう考えて機体を購入したものの、「電波法って何?うちのドローンは大丈夫?」と不安になった方は少なくないはずです。

実はドローンは航空法だけでなく、電波法の規制も受ける無線機器です。操縦用の送信機、映像を飛ばすFPV(一人称視点)システム、GPSとの通信、テレメトリー(機体状態のデータ送受信)——これらすべてが電波を使っており、法律の適用を受けます。

多くの市販ドローン(DJIなど)は日本の技術基準に適合した状態で販売されているため、購入して普通に使う分には問題ありません。しかし、海外の並行輸入品・改造機・FPVレーサーキットなどを使う場合は要注意です。また「免許不要」と「技適不要」は別の概念であり、混同すると法違反を招きます。

この記事では、ドローンビジネスに取り組む中小企業・個人事業主の方が必ず知っておくべき電波法・技適の基礎から実務上の注意点まで、わかりやすく解説します。

第1章:ドローンはなぜ電波法の規制を受けるのか

「無線局」としてのドローン

電波法では、電波を送信するすべての機器を「無線局」として定義し、原則として国から免許を受けなければ開設できないとしています(電波法第4条)。

ドローンには次の複数の「無線局」が含まれています:

  • 操縦用送信機 → 機体(2.4GHz帯 / 900MHz帯)
  • 機体 → 操縦者テレメトリー(同上)
  • FPV映像伝送(5.8GHz帯など・要確認)
  • GPS受信(1.5GHz帯・受信のみで規制対象外)

このうち特に問題になりやすいのは、FPV映像伝送に使われる5.8GHz帯です。国内で免許なく使用できる帯域と出力には厳格な制限があり、業務用途や高出力機器では「登録局」や「免許局」として手続きが必要になるケースがあります。

電波法と航空法は別物

「DIPS 2.0で飛行許可を取ったから大丈夫」と考えている方がいますが、DIPS 2.0は航空法上の飛行承認を扱うシステムです。電波法の手続きは別途、総務省・総合通信局が所管しており、どちらか一方の許可を取っても他方が免除されるわけではありません。

技術基準適合証明(技適)とは

技適とは?

技術基準適合証明(通称:技適)とは、電波法第38条の2に基づき、その無線機器(ドローン本体や送信機)が「電波法の定める技術基準に適合していること」を国が証明する制度です。

日本国内において電波は「公共の限られた資源」として厳格に管理されています。もし技適のない未認証の機器が勝手に強い電波を発信すると、警察や消防などの緊急無線、あるいは飛行中の航空機や他のドローンの通信を妨害してしまう恐れがあります。

こうした国内の電波秩序を維持し、安全な通信環境を担保するために、無線機器が法令の定める技術基準に適合していることを公的に証明する制度が技適ということになります。

技適はあくまで「技術基準を満たしている証明」であり、それだけで免許が不要になるわけではありません。

電波法における「免許」とは?

電波法における「免許」とは、一言でいえば「特定の無線局を開設し、運用することを国(総務省)が公的に認める許可」のことです。

電波は「公共の限られた資源」であり、誰もが自由に強い電波を発信すると、混信によって警察・消防などの公共通信や放送が麻痺してしまいます。これを防ぎ、電波の公平かつ能率的な利用を確保するために、免許制度が設けられています。

「無線局免許」と「無線従事者免許」の違い

日本の電波法では、自動車の「車検」と「運転免許」のように、設備と人の両方に資格を求める仕組みをとっています。

無線局免許は設備に対する免許です。どの機種を、どのような目的で、どのエリアで使うのかを国に届け出、その機体が電波法上の安全基準を満たした「無線局」であることを証明するものです。

無線従事者免許は自動車における運転免許に相当する、人に対する免許です。電波という限られた公共の資源を正しく扱うための知識と技術が備わっていることを、試験や講習を通じて国が認めた証となります。

項目無線局免許(局免)無線従事者免許(従免)
対象無線機(設備)とその設置場所操縦者(人)の技術・知識
役割特定の場所・周波数で無線局を置く許可無線機を操作するための国家資格
証明書無線局免許状無線従事者免許証
ドローン利用の場合5.7GHz帯の機体ごとに申請が必要陸上特殊無線技士などの資格が必要

周波数帯別の規制と「免許不要」の条件

免許なしで飛ばせるドローンもある

多くの空撮用ドローン(2.4GHz帯)は、以下の条件を満たすことで「免許を要しない無線局(免許不要局)」として扱われるため、個別の免許申請が免除されています。

  • 技適マークがある: 国が定めた技術基準に適合していることが証明されている。
  • 空中線電力が低い: 他の通信を妨害しない程度の微弱、または特定の低い出力である。

逆に、これらに該当しない海外製ドローンや高出力な産業用ドローン(5.7GHz帯など)を飛ばす場合は、たとえ個人利用であっても「無線局免許」と「無線従事者免許」の両方が必須となります。

2.4GHz帯(最も普及している帯域)

DJI Mavicシリーズなど多くの民生用ドローンは2.4GHz帯を使用しています。この帯域は「小電力無線局」として、一定の条件を満たせば免許不要で使用できます。

条件の概要:

  • 送信出力が技術基準の範囲内であること
  • 技術基準適合証明(技適)を取得した機器を使用すること

市販の正規品ドローンはほぼこの条件を満たしており、追加の手続きなく使用できます。

920MHz帯(特定小電力・LoRa等)

農業ドローンで使われることがある帯域です。「特定小電力無線局」として出力・チャンネル等の条件を満たせば免許不要。農業用テレメトリーシステムとしても活用されています。

5.7GHz帯・5.8GHz帯(FPV映像伝送で問題になりやすい)

FPVドローン(レーシングドローンや業務用FPV機)が映像伝送に使う帯域です。ここが最も注意が必要なポイントです。

5.7GHz帯(5725〜5850MHz)の一部は「登録局」として届出が必要な場合があります。国内未認証の5.8GHzビデオトランスミッターは技適未取得のものが海外製品に多く、そのまま使用すると電波法違反です。

「FPVゴーグルのセット品だから大丈夫」と思いがちですが、送信機側(機体に搭載するビデオトランスミッター)が技適取得済みかどうかを個別に確認する必要があります。また、趣味・レジャー目的でFPVを使用する場合でも、アマチュア無線技士4級以上の資格取得と無線局(アマチュア局)の開局申請が必要です(電波法第4条・総務省指針)。業務目的は第三級陸上特殊無線技士、趣味目的はアマチュア無線技士と、目的によって必要な資格が異なる点に注意してください。

技適の確認方法

①機器本体の表示を確認

機体・コントローラーに「〒」マークまたは「技適番号」が印字されていれば技適取得済みです。

②技適情報検索データベース

総務省が公開している「技術基準適合証明等のデータベース」で機器名・型番を検索できます。

③メーカーの仕様書・説明書を確認

「技術基準適合証明取得済み」と明記されているかチェックします。

技適が取れていないケース

以下の場合は技適未取得の可能性が高く、特に注意が必要です:

  • 海外の通販サイト(Amazon.com、AliExpressなど)から直接購入したドローン
  • FPVパーツ(ビデオトランスミッター・受信機)の個別購入品
  • 改造・カスタムビルドのドローン
  • 中古ドローンで出所が不明なもの

技適なし・免許なし使用の罰則リスクと実務上の注意点

刑事罰の対象になる

電波法第4条に違反して無免許で無線局を開設した場合、罰則は「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」(電波法第110条・2025年改正刑法施行)です。

「短時間だから」「人のいない場所だから」「自分の土地だから」は免責理由になりません。電波を発信した時点で違反が成立します。

「知らなかった」では通らない

電波法違反は故意・過失を問わず適用される場合があります。「買った商品をそのまま使っただけ」でも、輸入した製品が技適未取得であれば使用者が責任を問われます。

特にビジネス目的での使用は、「業者として当然知っているべき」とみなされやすく、行政指導・刑事捜査の対象になるリスクが高まります。

発覚のリスク

「電波法違反で捕まるの?」と感じる方もいますが、実際に摘発事例は存在します。特に以下のケースで発覚しやすくなっています。

  • 近隣住民からの電波干渉苦情(WiFiや他の無線機器への干渉)
  • 航空管制や気象レーダーへの干渉
  • イベント・公共施設での使用中に電波監視機関が検知

ドローンの普及に伴い、総務省の電波監視体制も強化されています。

第5章:業務用途での電波利用の注意点(FPV・画像伝送・通信システム)

業務用FPVシステムは要免許のケースが多い

建設・インフラ点検・農業など業務でFPV映像を使う場合、高品質な長距離映像伝送のために5GHz帯以上の高出力機器を使いたいケースがあります。

この場合、小電力局の出力制限を超えることが多く、「陸上移動局」などとして無線局免許が必要になります。また、送信機を操作するためには第三級陸上特殊無線技士(三陸特)以上の資格が求められることもあります。

資格取得のメリット

第三級陸上特殊無線技士(三陸特)は比較的取得しやすい国家資格です。受験資格は特になく、試験内容は法規・無線工学(多肢選択式)で、合格率は約70〜80%。養成課程(講習)でも取得できます。業務でドローン映像伝送システムを本格導入するなら、技術担当者が取得しておくと対応範囲が広がります。

実証実験・研究開発での電波利用

技適未取得の機器でも、「実験試験局」として免許を受ければ試験的に使用できます。新型機の開発やシステム検証が目的であれば、この制度の活用を検討してください(管轄は各地域の総合通信局)。

第6章:電波法を踏まえた機体選定と導入時チェックリスト

安全な機体選定の3原則

原則1:国内正規品を購入する

DJI、Autel、Skydio等の主要メーカーの日本国内正規流通品は、ほぼすべて技適取得済みです。正規代理店・公式ショップから購入すれば安心です。

原則2:並行輸入品は必ず技適確認

価格が安い海外版(日本語表示なし・保証書が英語のみ)は技適が取れていない場合があります。購入前に総務省データベースで確認するか、販売店に技適取得の証明を求めてください。

原則3:FPVパーツは個別に確認

FPVキットを自作・カスタムする場合、機体本体・コントローラー・ビデオトランスミッター・レシーバー、それぞれの技適を個別確認する必要があります。セット品でも個々のパーツが未取得のケースがあります。

導入前チェックリスト

  • 機体・コントローラーに技適マーク(〒)があるか確認した
  • 総務省データベースで型番を検索し、技適取得を確認した
  • 使用する周波数帯と出力が免許不要局の条件を満たしているか確認した
  • FPV映像伝送システムを使う場合、送信機の技適・免許要否を確認した
  • 業務用途で高出力システムが必要な場合、無線局免許の取得を検討した
  • スタッフに「技適なし機器は使用禁止」のルールを周知した
  • 中古機体・借用機体の技適状況を確認した

DIPS 2.0申請との連動

飛行許可申請(DIPS 2.0)では、機体の無線設備に関する情報も登録します。技適未取得の機体は機体登録(JU番号取得)の段階で問題が発生する可能性があるため、機体購入の段階で電波法適合を確認しておくことが、スムーズな申請への第一歩です。

まとめ

ドローンと電波法・技適について、実務上の3つの重要ポイントをまとめます。

  1. ドローンは複数の無線局の集合体。操縦用送信機・映像伝送・テレメトリーそれぞれが電波法の規制対象
  2. 「免許不要」と「技適不要」は別概念。技適を取得し、かつ免許不要局の条件を満たして初めて「手続きなしで使える」状態になる
  3. 技適なし・免許なし使用は刑事罰の対象。「知らなかった」は免責にならない

ビジネスでドローンを使う場合、機体選定の段階から電波法適合を意識することが重要です。電波法は一見とっつきにくいですが、「国内正規品を使う」「技適マークを確認する」という2点を守るだけで、大半のリスクは回避できます。ドローンビジネスを安全・合法的に進めるために、ぜひこの記事を参考にしてください。

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本記事は公開・更新時点の情報に基づいています。制度・法令は改正されることがあります。実際の申請にあたっては、国土交通省・DIPS 2.0等の公式情報で最新の内容をご確認ください。

申請手続きは専門家への相談がおすすめです

ドローンの飛行許可・承認申請は、ルールが複雑で申請漏れのリスクもあります。手続きに不安を感じたら、行政書士などの専門家への相談をご検討ください。

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