ドローンで第三者上空を飛ぶには?カテゴリーIII飛行の許可申請を徹底解説【2026年版】
住宅地の上空を飛ばして太陽光パネルを点検したい、道路を超えるルートで測量作業を行いたい——こうした場面で必ず直面するのが「第三者上空飛行」の壁です。
Level4飛行という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、実際には機体認証や技能証明のレベルによって、許可申請で対応できるケースと、そうでないケースが分かれます。本記事では2026年5月時点の制度情報をもとに、第三者上空飛行の要件と申請手順を整理します。
※本記事は情報提供を目的としています。個別のケースについては、国土交通省や申請の専門家にご確認ください。
そもそも「第三者上空飛行」とは何か
航空法における「第三者」の定義
航空法における「第三者」とは、飛行に関係しない不特定の人を指します。飛行ルートの安全確保のために配置した保安員や、飛行に同意した関係者は「第三者」に含まれません。
逆に言えば、公道を歩く通行人、自宅の庭にいる住民、公園で遊ぶ子どもたちは全員「第三者」として扱われます。住宅地や商業エリアの上空では、第三者が常時存在すると考えるのが自然です。
カテゴリーI・II・IIIの違いをおさらい
国土交通省は、ドローン飛行のリスクに応じて以下の3つのカテゴリーを設けています。
カテゴリーI(最もリスクが低い)は、立入管理措置(コーンや保安員による人払い)を行ったうえで飛行する場合です。特定飛行に該当せず、原則として許可申請が不要です。
カテゴリーII(中程度のリスク)は、特定飛行に該当するが、第三者が立ち入らない空域または立入管理措置を講じた空域での飛行です。国土交通大臣への許可・承認が必要です。
カテゴリーIII(最もリスクが高い)は、第三者の立ち入りを管理しない空域(立入管理措置なし)での特定飛行です。要件が最も厳しくなります。
第三者上空飛行の多くはカテゴリーIIまたはIIIに区分されます。
第三者上空飛行が「特定飛行」に該当する理由
航空法では、「第三者の上空」での飛行は特定飛行の一類型として定められています(航空法第132条の85)。住宅地の上空、公道の上空、工場の敷地を超えるルートなど、飛行中に第三者が存在する可能性がある経路はすべてこの類型に該当する可能性があります。
特定飛行に該当すると、原則として国土交通大臣の許可または承認を取得しないと飛行できません。
第三者上空飛行を行うための要件
機体要件(機体認証の有無と等級)
第三者上空を立入管理措置なし(カテゴリーIII相当)で飛行させるには、機体が第一種機体認証を取得している必要があります。
第一種機体認証は、安全性を検証した機体に国土交通省が付与する認証で、型式認証を取得した機体か、個別に検査を受けた機体が対象となります。2026年5月時点では、対応機種・認証手続きの詳細は国土交通省のウェブサイトで確認できます。
第一種機体認証のない機体でも、立入管理措置を実施(カテゴリーII相当)するという前提であれば、第二種機体認証または型式認証のない機体で申請できる場合があります。
操縦者要件(技能証明の有無と等級)
立入管理措置なしで第三者上空を飛行させるには、操縦者が一等無人航空機操縦士の資格を保有していることが求められます。
一等技能証明は、二等技能証明よりも高難度の試験・実地審査を要する資格です。これは、第三者上空飛行のリスクの高さに対応した要件と理解できます。
立入管理措置を行う前提(カテゴリーII相当)の飛行であれば、二等技能証明での申請が認められるケースがあります。ただし、技能証明なしでの申請が認められるケースは制度上きわめて限定的です(飛行空域・飛行方法の条件によります)。第三者上空飛行においては特に要件が厳しいため、個別の条件について事前に国土交通省またはDIPS2.0の案内でご確認ください。
リモートIDの装備義務
特定飛行に該当する場合、原則としてリモートID機能の搭載が義務付けられています。リモートIDとは、飛行中の機体の識別情報(登録記号・位置情報など)を電波で発信する機能です。
国土交通省への登録番号が機体に付与されていること、リモートIDモジュールが正常に機能していることを申請時に確認しておく必要があります。
立入管理措置(コーン・保安員)との関係
カテゴリーIIIの飛行では、立入管理措置を「行わない」ことを前提としています。一方、カテゴリーII相当の飛行では、コーン・ロープ・保安員などで飛行経路下への人の立ち入りを防止する措置を講じます。
立入管理措置を取ることで要件のハードルが下がる部分がある反面、実際の現場(道路・公園・住宅地)では人払いの実施が困難なケースも多くあります。どちらの方法が現実的かは、飛行場所の状況によって変わります。
DIPS2.0での申請手順ステップバイステップ
申請区分の選び方(包括 vs 個別)
DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)では、飛行許可・承認申請の際に「包括申請」と「個別申請」を選択します。
包括申請は、特定の期間内(最長1年間)に同種の飛行を繰り返す場合に向いています。測量会社が複数現場で定期的に同条件の飛行を行うケースなどが該当します。
個別申請は、特定の日時・場所・条件に限定した飛行のために行います。単発のイベント撮影や、初めて特定飛行を行う場合などに向いています。
第三者上空飛行の場合は、許可の内容が具体的に審査されるため、個別申請が求められるケースが多いとされています。
飛行計画の記載ポイント
申請時の飛行計画では、以下の項目を丁寧に記載することが審査通過の鍵になります。
飛行経路の具体的な位置(地図上に明示)、飛行高度・速度・経路の詳細、第三者が存在する可能性の有無とその根拠、気象条件の制限(風速・視程など)、緊急時の対応手順。
「どの空域でどのようなリスクがあり、どう対応するか」を具体的に記述することが求められます。
安全確保措置の記載例
安全確保措置の欄には、実際に行う対策を箇条書きで記載します。飛行前に経路下の第三者の有無を目視確認する、第三者が接近した場合は直ちに飛行を中断する、補助者(視認員)を配置し操縦者と常時連絡を取る、落下リスクを軽減するために機体の整備記録を最新に保つ、といった内容が参考になります。記載が曖昧だと審査で補正を求められる可能性があります。
審査期間の目安と注意点
DIPS2.0経由の申請は、国土交通省の審査が完了するまで通常10〜30業務日程度かかるとされています(国土交通省DIPS2.0の案内に基づく2026年5月時点の目安。申請内容・時期によって変動します)。繁忙期や申請内容の複雑さによってはさらに時間がかかる場合があります。余裕をもって申請することが重要です。飛行予定日の1〜2ヶ月前には申請を済ませておくことをおすすめします。
立入管理措置なしで飛べるケース・飛べないケース
機体認証(第一種)+技能証明(一等)があれば何が変わるか
第一種機体認証と一等無人航空機操縦士の両方を満たした場合、立入管理措置なしでの第三者上空飛行(カテゴリーIII飛行)が申請によって認められる可能性があります。
これが「Level4飛行」と呼ばれる状態に近いケースです。航空法の改正(2022年12月施行)によって制度的に可能になりましたが、実際には機体認証取得済みの機種が限られており、業務に使用できる機体の選択肢はまだ多くないのが実情です。
認証・証明がない場合の現実的な対応策
一等技能証明や第一種機体認証がない場合、カテゴリーIIIに該当する飛行を行うことは難しいと考えられます。その場合の選択肢は主に以下の2つです。
立入管理措置を実施してカテゴリーII相当で申請する方法は、飛行経路下に保安員を配置するなどして第三者の立ち入りを管理しながら飛行するものです。現場環境によっては実施困難な場合もありますが、認証・証明なしで対応できる現実的な手段の一つです。
業務として継続的に第三者上空飛行を行うのであれば、長期的に一等技能証明と第一種機体認証の取得を目指すほうが、申請の自由度が大きく広がります。
よくある質問(FAQ)
マンション屋上から人通りのある道路を超えて飛ぶのはカテゴリー何?
飛行経路下に不特定の通行人が存在する道路を超える飛行は、第三者の上空を通過するケースに該当する可能性があります。立入管理措置が取れない場合はカテゴリーIII相当となり、第一種機体認証と一等技能証明が要件となります。具体的な判断は国土交通省や専門家にご確認ください。
イベント会場の観客上空飛行との違いは?
イベント会場における観客上空飛行は、特定飛行の中でも「人または家屋の密集している地域の上空」(DID)や「多数の者の集合する催しが行われている場所の上空」として別途規定されています。第三者上空飛行と要件が重なる部分もありますが、イベント主催者との調整や観客への周知など、追加の安全措置が求められるケースがあります。
申請が却下されたらどうする?
申請が却下された場合、国土交通省から補正または不許可の通知が届きます。補正の場合は指摘箇所を修正して再提出できます。不許可の場合は、安全確保措置の内容を見直すか、飛行計画自体を変更する必要があります。申請内容に不安がある場合は、申請の専門家(行政書士など)に相談することも選択肢の一つです。
まとめ:第三者上空飛行は「要件整理」が先決
第三者上空飛行は、「どこを飛ぶか」「機体の認証レベル」「操縦者の資格」「立入管理措置を取るかどうか」の組み合わせによって、必要な申請内容が変わります。
まず確認すべきことは、飛行経路に第三者が存在する可能性があるかどうか、機体に第一種または第二種機体認証があるか、操縦者が一等または二等の技能証明を持っているか、立入管理措置(人払い)を現場で実施できるか、の4点です。この4点を整理したうえでDIPS2.0の申請に進むと、申請区分や安全措置の記載が格段にスムーズになります。
制度は継続的に更新されています。申請前には必ず国土交通省の公式情報を最新版で確認し、不明点があれば専門家に相談することをおすすめします。
本記事は公開・更新時点の情報に基づいています。制度・法令は改正されることがあります。実際の申請にあたっては、国土交通省・DIPS 2.0等の公式情報で最新の内容をご確認ください。
申請手続きは専門家への相談がおすすめです
ドローンの飛行許可・承認申請は、ルールが複雑で申請漏れのリスクもあります。手続きに不安を感じたら、行政書士などの専門家への相談をご検討ください。
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