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ドローン機体認証(第一種・第二種)完全ガイド【2026年版】型式認証・個別認証の違いから申請手順・レベル4飛行への活用まで実務解説

はじめに

「レベル4飛行をやりたいが、機体認証って何?」「型式認証と個別認証はどう違うのか?」「自社の機体は認証を受けられるのか?」——ドローンビジネスの最前線に立つ事業者から、こうした質問を受ける機会が増えています。

2022年12月5日に施行された改正航空法により、ドローン(無人航空機)の飛行に関する規制体系が大きく変わりました。その中でも特に重要なのが「機体認証制度」の導入です。これは有人航空機の耐空証明に相当する仕組みで、一定の飛行リスクがある「特定飛行」を行うためには、機体が所定の安全基準を満たしていることを国に証明する必要があります。

特にレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)を目指す事業者にとって、第一種機体認証の取得は避けて通れない必須要件です。しかし「機体認証」という言葉が浸透しているわりに、具体的な手続きや費用、申請先を正確に理解している事業者はまだ少ないのが現状です。

この記事では、機体認証制度の法的根拠から、第一種・第二種の違い、型式認証・個別認証の選択基準、DIPS 2.0での申請手順、リース機体の取り扱い、よくある疑問まで、中小企業・個人事業主が実務で即使える情報を徹底解説します。

第1章:ドローン機体認証制度とは——法的根拠と制度の全体像

1-1. 法的根拠と制度創設の背景

機体認証制度の根拠法は航空法第132条の25です。「無人航空機の安全基準への適合証明」として、2022年12月の改正航空法施行と同時にスタートしました。

制度創設の最大の理由は「レベル4飛行の解禁」です。有人地帯の上空を人が乗らない機体が自律飛行するためには、「この機体は安全基準を満たしている」という客観的な証明が不可欠です。有人航空機では航空機の型式証明・耐空証明がこれに相当しますが、ドローンにも同様の仕組みが導入されました。

機体認証は、機体の設計・製造・性能が国土交通省の定める安全基準に適合しているかを確認するものです。操縦者の技能を証明する「操縦ライセンス(国家資格)」とは別の制度であり、両方が揃って初めてレベル4飛行が可能になります。

1-2. 第一種機体認証と第二種機体認証の違い

機体認証には第一種第二種の2種類があります。どちらが必要かは、行おうとする飛行の「カテゴリー」によって決まります。

  • 第一種機体認証カテゴリーIII飛行(第三者上空での特定飛行)に必要。
  • 住宅地・商業地など不特定多数の人がいる可能性がある地域の上空を、立入管理措置なしに飛行させる場合が該当。
  • レベル4飛行はカテゴリーIIIに含まれるため、第一種機体認証が必須。
  • 有効期間は1年間で、毎年更新が必要。
  • 第二種機体認証カテゴリーII飛行(特定飛行のうち、第三者上空以外)に必要。
  • 夜間飛行、目視外飛行、DID(人口集中地区)上空での飛行など、リスクが高い特定飛行のうち、立入管理が確保された環境での飛行が対象。
  • 有効期間は2年間

なお、特定飛行に該当しない飛行(カテゴリーI)は機体認証不要で、飛行許可・承認も原則不要です。

1-3. 機体認証がなければできないこと

機体認証を取得していない場合、カテゴリーII・IIIに該当する特定飛行を行うことができません(または、より厳しい個別許可・承認申請が必要になります)。

特にレベル4飛行については、第一種機体認証+一等操縦ライセンスの両方が必須要件です。どちらか一方でも欠けると実施できません。未認証機体でカテゴリーIII飛行を行った場合、航空法第157条の14により100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

第2章:型式認証と個別認証——2つのルートの違いと選び方

2-1. 型式認証とは

型式認証は、特定の設計・仕様の機体(型式)全体に対して認証を与える制度です。主に機体メーカー・輸入販売会社が申請主体となり、設計段階から安全基準への適合を審査します。

型式認証を取得した機体の量産品については、個々の機体ごとに詳細な安全審査を受ける必要がなく、製造検査(品質管理の確認)のみで個別の機体認証を取得できます。このため、型式認証機体のエンドユーザー(事業者・個人)は、個別認証よりもスムーズかつ低コストで機体認証を取得できる可能性があります。

2026年3月時点で型式認証を取得・申請中のメーカーは主に国産機体メーカーで、DJIなど海外メーカーの主要機種については型式認証を取得していないケースも多いため、DJI機体を使う事業者は個別認証のルートを検討する必要があります。

2-2. 個別認証とは

個別認証は、機体一台ごとに安全基準への適合を審査する方式です。申請主体は機体の所有者です。国土交通省が指定した登録検査機関(または国土交通省が直接)が検査を実施し、基準適合が確認された機体に認証書が交付されます。

個別認証の対象は、型式認証を取得していない機体(多くの海外製機体、カスタム機体など)です。審査では、飛行マニュアル・設計資料の提出、飛行試験の実施など、より詳細な確認が求められます。そのため、型式認証機体の製造検査と比較して審査期間が長く、費用も高くなる傾向があります。

2-3. どちらを選ぶべきか——実務上の判断軸

事業者が自分で「型式認証か個別認証か」を選ぶわけではなく、使用する機体がどちらのルートに対応しているかで決まります

判断フローは次のとおりです。

  1. 使用したい機体の型式認証取得状況を確認(メーカー・国土交通省の公表情報など)。
  2. 型式認証ありの場合:
  • 型式認証機体として、製造検査ルートで認証申請(比較的スムーズ)。
  1. 型式認証なしの場合:
  • 個別認証を申請(登録検査機関への依頼・資料準備が必要)。

実務上は、まず使用予定の機体が型式認証を取得しているかどうかを確認することが最優先です。型式認証機体を選定することで、認証取得コストと時間を大幅に削減できます。

2-4. 申請主体は「機体の所有者」

重要なポイントとして、機体認証の申請主体は機体の所有者(機体登録上の所有者)であり、操縦者ではありません。

自社所有機体であれば自社が申請しますが、リース・レンタル機体の場合は所有者(リース会社)側に認証責任があります。機体をリースして使用する事業者は、リース会社が機体認証を取得しているかどうかを契約前に確認することが必須です。認証のない機体をリースしてカテゴリーIII飛行を実施した場合、法的責任は飛行を実施した事業者にも及ぶ可能性があります。

第3章:機体認証の申請手順——DIPS 2.0での手続きの流れ

3-1. 申請窓口と申請システム

機体認証の申請は、国土交通省の「DIPS 2.0」(ドローン情報基盤システム)を通じてオンラインで行います。飛行許可申請と同じシステムを使いますが、機体認証は別メニューから申請します。申請にはDIPS 2.0のアカウント(GビズIDまたはMicrosoftアカウント等)が必要です。

紙での申請も制度上は可能ですが、処理期間が長くなるためオンライン申請が推奨されます。

3-2. 申請に必要な書類

申請に必要な書類は認証の種別によって異なりますが、共通して必要な主な書類は以下のとおりです。

  • 機体の基本情報(製造者名、型式、製造番号、最大離陸重量など)
  • 飛行マニュアル(機体の使用・整備方法を定めたもの)
  • 設計仕様書または同等の資料(機体の構造・性能に関する文書)
  • 整備記録(既存機体の場合)

型式認証機体の製造検査ルートでは、設計関連書類の提出は省略される場合があり、申請負担が軽減されます。個別認証の場合は、飛行試験データや第三者機関による検査報告書が別途必要になるケースもあります。

3-3. 審査期間と費用の目安

審査期間は、申請の種類・機体の複雑さ・申請時期の混雑状況によって異なります。

  • 型式認証機体の製造検査ルート:概ね1〜2ヶ月程度
  • 個別認証:3〜6ヶ月以上かかるケースもある。

レベル4飛行を計画している事業者は、飛行開始の半年以上前から申請準備を始めることが推奨されます。

費用は、国への申請手数料のほか、登録検査機関への検査費用がかかります。個別認証の場合は数十万円規模のコストになるケースもあります。型式認証機体の製造検査では、メーカーが検査費用の一部をサポートしているケースもあるため、導入前にメーカーに確認しておくとよいでしょう。

3-4. 認証後の維持管理義務

機体認証を取得した後も、以下の義務が継続します。

  • 定期検査・更新申請
  • 第一種:1年ごとに更新。
  • 第二種:2年ごとに更新。
  • 有効期間満了前に更新申請を行わないと認証が失効し、カテゴリーII・III飛行ができなくなります。
  • 改造・修理時の対応
  • 機体の改造・修理を行った場合、認証条件に影響する変更かどうかを確認し、必要に応じて変更申請または再認証申請を行う必要があります。
  • 特にモーター・フレーム・電子系統など主要部品の交換は要注意です。
  • 整備記録・飛行記録の管理
  • 飛行日誌への記録と組み合わせて、整備記録を適切に保管・管理することが求められます。

これらを適切に運用することで、レベル4飛行・カテゴリーIII飛行を継続的かつ安全に実施するための基盤が整います。

第4章:機体認証とレベル4・カテゴリー飛行の関係——飛行カテゴリー別の必要要件まとめ

4-1. カテゴリー別の必要要件一覧

改正航空法のカテゴリー区分と機体認証・操縦ライセンスの必要性をまとめると次のようになります。

カテゴリーI(特定飛行に非該当):機体認証不要、操縦ライセンス不要、飛行許可・承認も原則不要。ただし、機体登録・賠償責任保険への加入は必要。

カテゴリーII(特定飛行・第三者上空以外):第二種機体認証または個別の飛行許可・承認が必要。二等操縦ライセンスがあると申請手続きが簡略化される。

カテゴリーIII(特定飛行・第三者上空):第一種機体認証+一等操縦ライセンスが必須。この2つが揃って初めてレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が可能になる。

4-2. 機体認証なしで特定飛行を行う「個別許可・承認ルート」との比較

機体認証を取得していない場合でも、国土交通省へ個別に飛行許可・承認を申請することでカテゴリーIIに相当する特定飛行を行える場合があります(カテゴリーIIIは機体認証必須のため不可)。ただし、個別許可・承認申請は許可ごとに書類準備・審査期間・費用がかかり、飛行の都度または一定期間ごとに繰り返し申請が必要です。事業として頻繁に特定飛行を行うのであれば、機体認証を取得してしまった方がトータルコストと手間を大幅に削減できます。

4-3. 機体認証取得後の飛行申請フロー

第一種機体認証+一等ライセンスを取得した後のカテゴリーIII飛行の実務フローは次のとおりです。飛行計画の作成(飛行日時・場所・経路・高度等を決定)→ DIPS 2.0で飛行計画を提出(オンライン通報)→ 立入管理措置が不要な条件を確認→ 当日の飛行前点検・飛行日誌記録→ 飛行実施→ 飛行日誌に飛行結果を記録。機体認証と操縦ライセンスが揃えば、個別の許可取得なしに計画的な飛行が可能になります。これがレベル4解禁の最大のメリットといえます。

第5章:中小企業・個人事業主が知るべき実務上の注意点

5-1. 機体選定は「型式認証対応かどうか」を最初に確認

これからドローンを新規購入・リース導入する事業者にとって最も重要なのが機体選定です。レベル4飛行やカテゴリーII飛行を視野に入れているなら、型式認証を取得済みの機体を選ぶことで、認証取得の手間とコストを大幅に省けます。購入前にメーカーの型式認証取得状況を確認し、型式認証機体であればその認証番号も確認しておきましょう。国土交通省のウェブサイトでは、型式認証を取得した機体の一覧が公表されています。

5-2. 複数機体・複数操縦者を管理する法人の注意点

複数の機体を保有・運用する法人の場合、機体ごとに機体認証を管理する必要があります。有効期限・更新時期を機体ごとに一覧管理するシートを作成し、更新漏れを防ぐ仕組みを整えることが重要です。認証が失効した状態でカテゴリーII・III飛行を行うと航空法違反となります。また、操縦者の一等・二等ライセンスの取得状況と紐づけた管理体制を構築すると、「誰がどの機体でどのカテゴリーの飛行を実施できるか」が一目でわかり、業務管理が効率化されます。

5-3. リース・レンタル機体利用時の契約確認事項

外部からドローンをリースまたはレンタルして特定飛行を行う場合は、必ず契約前に以下を確認してください。機体認証の取得有無・認証番号・有効期限、認証の種別(第一種か第二種か)、機体改造履歴と認証への影響有無、認証失効時の補償・代替機対応の有無。認証が取得されていない機体でカテゴリーII・III飛行を行うことはできないため、リース会社に対して認証書の写しを契約書類として要求することを推奨します。

5-4. 機体保険と機体認証の関係

機体認証の取得と機体保険は法律上別々の要件ですが、実務上は密接に関連します。保険会社によっては機体認証の有無が保険引受条件や保険料に影響する場合があります。また、事故発生時に機体認証が失効していた場合や、認証条件を逸脱した飛行(改造後の未申請など)を行っていた場合は、保険が適用されないリスクがあります。機体認証の維持管理は安全運航のためだけでなく、保険補償を確保するうえでも重要です。

第6章:よくある疑問Q&A——機体認証に関する実務質問

Q1. 既存のドローンを持っているが、後から機体認証を申請できるか?

A. はい、できます。機体認証は新規購入時だけでなく、既存の機体に対しても申請可能です。機体が型式認証を取得している場合は製造検査ルート、取得していない場合は個別認証ルートで申請します。ただし、古い機体や改造履歴がある機体は審査に時間と費用がかかる場合があります。

Q2. 農薬散布ドローンにも機体認証は必要か?

A. 飛行内容によります。農薬散布は通常、農地上空での飛行であり、立入管理が行われていればカテゴリーIIの飛行として扱われる場合が多いです。この場合、第二種機体認証があると個別の飛行許可・承認が不要(または簡略化)になります。一方、DID(人口集中地区)内の農地上空や住宅隣接エリアでの飛行は、立入管理の実施状況によってカテゴリーが変わるため、飛行計画段階で国土交通省のガイドラインを確認することを推奨します。

Q3. 100g未満のドローンは機体認証不要か?

A. はい、100g未満のドローンは航空法の規制対象外です。機体登録・機体認証・操縦ライセンスも不要です。ただし、飛行させる場所によっては各自治体の条例や公園管理規則等の規制を受ける場合があります。また、事業目的で使用する場合は賠償責任保険への加入を強く推奨します。

Q4. 機体認証を取得した機体のバッテリーを交換しても認証は維持されるか?

A. 純正品・同型バッテリーへの交換であれば、通常は認証に影響しません。ただし、仕様が異なるバッテリー(異なる容量・電圧・メーカー等)に交換した場合は機体の性能仕様が変わる可能性があり、認証の再審査が必要になるケースがあります。交換前にメーカーや検査機関に確認することを推奨します。

Q5. 機体認証と操縦ライセンスは同時に申請できるか?

A. 手続き自体は別々ですが、並行して進めることは可能です。機体認証は所有機体ごとの申請で、操縦ライセンス(国家資格)は個人ごとの試験・申請です。レベル4飛行を目指す場合は、両方の取得に数ヶ月単位の時間がかかることを見越して、並行して準備を進めることをお勧めします。登録講習機関でのドローンスクール受講と並行して機体認証の申請手続きを行うことで、時間を効率的に使えます。

まとめ:機体認証はドローンビジネス拡大の「通行証」

ドローン機体認証制度は、2022年12月の改正航空法施行とともに始まった新しい仕組みです。単なる書類手続きではなく、「この機体は安全基準を満たしている」という社会的な信頼の証となるものです。

この記事でお伝えした重要ポイントをまとめます。

  • レベル4飛行(カテゴリーIII)には第一種機体認証+一等操縦ライセンスの両方が必須
  • 型式認証機体を選ぶと認証取得がスムーズで低コスト。機体選定時に必ず確認を
  • 申請主体は機体の所有者。リース機体は契約前に認証状況の確認が必須
  • 認証後も定期更新(第一種:1年、第二種:2年)と改造時の申請義務が継続する
  • カテゴリーIII違反の罰則は100万円以下の罰金。認証維持の管理体制が不可欠

中小企業・個人事業主がドローンビジネスをスケールさせるうえで、機体認証の取得は「やらなければならない義務」というより「新しい市場への通行証」と捉えてほしいと思います。機体認証を取得した機体でレベル4飛行が可能になれば、従来は不可能だった配送・点検・警備の案件が受注できるようになります。競合他社との差別化にもなり、行政や大手企業との取引にあたって信頼性の証明にもなります。

機体認証の申請準備は早めに始めるほど有利です。使用予定機体の型式認証状況の確認から始め、必要書類の収集・DIPS 2.0での申請と、一歩ずつ計画的に進めていきましょう。ご不明な点は国土交通省の相談窓口や、行政書士等の専門家に相談することをお勧めします。

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本記事は公開・更新時点の情報に基づいています。制度・法令は改正されることがあります。実際の申請にあたっては、国土交通省・DIPS 2.0等の公式情報で最新の内容をご確認ください。

申請手続きは専門家への相談がおすすめです

ドローンの飛行許可・承認申請は、ルールが複雑で申請漏れのリスクもあります。手続きに不安を感じたら、行政書士などの専門家への相談をご検討ください。

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